主なRPGシステム・版上げ年表
研究の一環で必要になりましたので、2版以上発売された作品を、「海外編」と「国内編」にわけてみました。
といっても、Wikipedia(英語版含めて)とその他のファンサイトから拾い集めただけなので、若干間違いはあるかもしれません。もちろん後で答え合わせはします。
また、記法も完全には統一できていないので、一部こけおどし的な数字もあります。これもそのうち直しますのでご勘弁を。
ともあれこれで、RPGシステム販売における〈版上げ〉とは何かを、論じる基準のひとつを準備出来たのではないかと思います。
こないだRPGシステムの〈消費期限〉みたいな話をちょっぴりしましたが、この表を見ればいろいろとわかることもあるかもしれませんね。
それでは論より証拠。いってみましょう。
■版ごとの年数を数えました。─海外RPG編
- Advanced Dungeons & Dragons
- 1版:11年(1978-1989)
- 2版:11年(1989-2000)
- 2.5版「Revision Edition」:5年(1995-2000)
- 3版:8年(2000-2008?)※日本語版D&D3e
- 3.5版:5年(2003-2008?)※日本語版D&Dv3.5
- 4版:2008年発売予定
- Tunnels & Trolls
- 1版:?年(1975)
- 5版:26年/?年(1979-2005)*1
- 5.5版:1年(2005-2006)
- 7版:1年以下続行(2006-)
- 旧Glorantha*2
- Mongoose版:2年以下続行(2006-現在)
- 新Glorantha
- 「Hero Wars」:3年(2000-2003)
- 「Hero Quest」:4年継続中(2003-)
- Traveller
- Call of Cthulhu Basic Roleplayng Game
- GURPS
- 1版:1年(1986-1987)
- 2版:1年(1987-1988)
- 3版:8年(1988-1996)
- 3.5版:8年(1996-2004)
- 4版:3年続行中(2004-)
- Shadowrun
- 1版:3年(1989-1992)
- 2版:6年(1992-1998)
- 3版:7年(1998-2005)
- 4版:3年継続中(2005-)
- Earth Dawn
- 1版:8年(1993-2001)
- 2版:3年(2001-2004)*8
- Classic (2004-現在,FASA社のプロダクトコードとは別)
寸評:D&Dの10年スパン、そしてRuneQuestの21年スパンは凄い。
(ああ、でもRQも調べたら細かく版上げしているのかしら。この辺はid:mallionさんに伺えば早そうだ→さっそく補完していただきました。うおすげえ濃い情報。まりおんさん、ありがとうございます!)
あ、T&T、四半世紀選手じゃん。ケンすごいよケン。
グローランサは90年代末に、世界観版権とシステム版権が真ん中からぶった切られてしまったそうで(これもまりおんさんに(以下略)→うおスゲエ濃(以下略))、ともあれそれがなければ未だに続いていたのかもしれないと思うと、下手すると四半世紀ものの世界観です。もう英米文学とかで扱われていい世界観なんじゃないかしらん。
さて王道(A)D&D。これはWizards of the Coast社に版権が移行してから、版上げのスピードが上がっているが、あの膨大な資料を提出してもう版上げというのは、もはや何を考えているのかよーわからん(誰か説明してくれい)。おそらく3.5版は4版が出た後もずっと遊ばれるのではないかというくらい完成度が高いので、4版がその分売れなくなってしまうのではないかと心配。
GURPSは1〜2版の急ぎっぷりは面白いけれど、3版以降は磐石といってもいい。改訂版(日本では『完訳版』として刊行)を抜いたらこれも10年選手。90年代RPGゲーマーにとって、GURPSは実に「GURPS3e」の代名詞だった。
Travellerは版上げしているように見えて、すべてゲーム性が違うのは有名な話。もしかするとトラベラーにとって〈版上げ〉という概念は、ほかのゲームと比較してまったく違う意味をもつのかもしれない。特に無印・メガトラとTNEの変わりっぷりは凄い。詳しくは馬場さんのトラベラー解説を参照。
Shadowrunも初版と2版、2版と3版、3版と4版でゲーム性が無視できないほど違うし、世界観のカラーもまるで違う。Shadowrun海外コミュニティに詳しい人は知っているかもしれないが、SRには「シャドウラン・ギークコード」というのがあって、SRファンが掲示板で集った時に自分の好みのSRプレイスタイルを早見表で紹介することがある。その時には、「サムライ+++」とか「マジシャン---」とかと一緒に、SR1からSR4までの版も別々に評定することができる。つまり、「俺は初版が好きだぜ!」と、「いややっぱり3版だろ」というのが平等に扱われているというわけ。これもトラベラーの〈版上げ〉と若干似た感じで、いわば「版ごとの個性」が認められているということだろう。(まあ、おかげでFASAは3版を最後につぶれてしまったわけだが。ははは)
アースドーンは2版になってすぐFASAがつぶれてから、ニュージーランドのゲーム企業「Red Brick」が編集権を獲得している。この辺の話は日本最大手のED専門サイト「アースドーン・ジャパン」で調べていただきたい。
ってEDジャパンねえええーーー!!
どこいった? あれ? さりおんさーん。びじうさーん。おしえてくださーいーぃーぃーぃー。
さて。国内だ!
サポート体制がわからないところは堂々と「?」をつけたので補足していただきたい!
■版ごとの年数を数えました。─国内RPG編
- 『ローズ・トゥ・ロード』
- 無印:?(1984-1989)
- Bローズ:?(1989-?)
- Fローズ:?(1992-?)
- ローズR:?(2002-?)
- 『トーキョーN◎VA』
- 1版「ツクダホビー版」:2年(1993-1995)
- 2版「セカンド・エディション」:3年(1995-1998)
- 3版「The Revolution」:5年(1998-2003)
- 4版「The Detonation」:4年継続中(2003-)
- 『エルジェネシス』
- 『セブンフォートレス』
- 1版(無印):2年(1996-1998)
- 2版「Advanced」:4年(1998-2002)
- 2.5版「EX」:1年(2001-2002)
- 3版「V3」:5年継続中?(2002-2007)
- 4版 2008年発売予定?
- 『ビーストバインド』
- 1版(旧約):5年(1999-2004)
- 2版(新約):3年継続中?(2004-)
- 『Brade of Arcana』
- 1版:2年(1999-2001)
- 2版:5年(2001-2006)
- 3版:1年継続中(2006-現在)
- 『ナイトウィザード』
- 1版:5年(2002-2007)
- 2版:0年継続中(2007-現在)
- 『ダブルクロス』
- 1版:2年(2001-2003)
- 2版:4年継続中(2003-現在)
- 『アルシャード』
- 1版:3年(2002-2005)
- 2版「ff」:2年継続中(2005-現在)
- 『ゲヘナ』
- 1版:3年(2003-2006)
- 2版「アナスタシス」:2年以下続行(2006-現在)
- 『迷宮キングダム』
- 1版:2年(2004-2006)
- 2版:1年以下続行(2006)
- 『Aの魔法陣』
- 1版(ムックのおまけゲーム):1年*10
- 2版(WebテキストONLY):1年
- 2.5版(WebテキストONLY):1年
- 3版(これが初の単行本):約2年以下続行(2006-2007)
- 3.5版(再びWebテキスト、β版):半年、以下開発中
まあ、さすがソードワールド。「ご長寿早押しクイズ」に出てきそうって感じの長さ(他意はありません)。いや本当にすごいよ。どうしてここまで変化せずにこられたのか。
これでルンケが版上げしていたとしたら、長者番付に載るくらいの長寿記録かもしれないいやしかし、T&Tには一歩とどかなかった。ところでTRPGに関する記録はギネスブックに載るのだろうか? わからないな。
ローズについてはサポート体制が『RPG Magazine』あたりにはありそうなので今後追いたいのだけれど、90年代後半には一度サポート体制が途切れていそう。けれど、ローズの隠れファンは多く、「未だにローズ遊んでます」「尊敬しています」というファンは数知れずだとか。
さて、『エルジェネシス』から『アルシャード』までは全部F.E.A.R.ブランドのゲームだ。このリストはそもそも、「二版以上版上げしている(あるいは来年度版上げ予定のある)、それなりに有名なシステム」*11のみを抜き出したつもりなのだが、その半数がF.E.A.R.社のゲーム(しかもその約半分が21世紀になってからでたもので、特に改訂が早い)を占めていたという結果になり、大変驚いている。
特に、初版から二版までのスパンがほぼ2年から3年の間に集中しており(これは、ソードワールドが20年近く大きな変更がなかったことと較べると、驚きである。いや、ソードワールドにこそ驚くべきなのか?)、さらにはこれだけ沢山のラインナップを抱えながら、版上げをすることにためらいがないように見える。〈雑誌サポート〉〈スキルのモジュール化〉に加えて、このような〈迅速な版上げ〉についても検討すれば、先に論じたF.E.A.R.のゲーム開発スタイルはよく見えてくるのではないかと思う。少なくとも国産TRPG界において、F.E.A.R.という会社はもっとも多く自社製品を「版上げ」してきた会社だということは間違いないところだろう。
グループSNEの『ゲヘナ』は、そのF.E.A.R.の開発ペースに似た展開を見せているが、どれだけ成功しているかはちょっとよくわからない。『迷宮キングダム』は。私の周囲にいる“ボードゲームデザインに詳しいファン”に評判が高く、沢山遊ばれているようだ。『Aの魔法陣』は、実は第3版で始めて書籍、じゃあ2版以前はなんだったのかというと、ずっと掲示板ゲームでみんな一生懸命訓練して遊んでいたと言うスゲー世界でやっていた(私もその一人だった)。ゲームデザインという“情報”しかない世界で、みんなよくあそこまで熱中できたものだと思う。結果的に書籍化されたが、このGoogleっぽいサービス手法は、4版開発にむけたテストプレイにおいても再び用いられているらしい。
今日はこんなところで。
おまけ:抜けがあるシステム一覧
調べれば確かに続編があるっぽいけど、今回は筆者の時間が足りず、扱わなかったシステム一覧。「ふざけんな、重要だ、抜かすなコノヤロウ」と思った人は、とりあえず怒んないでね。そのかわりにぜひコメント欄等でご指摘をば。
しかし……忘れていただけあって、全体的にビミョーな顔ぶれではある。いや、名作だらけだけどさ。
■海外RPG分析漏れ
- クラシックD&D(海外展開のデータがイマイチ揃わず断念)
- クルト(武藤潤さんのところで紹介されている)
- WoDシリーズ(個々のゲームの第二版ってわけじゃないので忘れていた。)
- ウォーハンマー(これは海外の2版がいつでたのかわからなかった。後で追加)
- ファイティングファンタジー
- ファンタズムアドベンチャー(やっぱスラスとラビットマン)
- ハーンワールド(最近Scoops RPGでは翻訳記事たくさんです)
- ダークコンスピラシー(と学系MIBゲー。馬場さんの解説が最高)
- パラノイア(マリオ感覚でプレイ。0とかXPとか、ややこしい版上げコード。)
- サイバーパンク(2.0.2.0以外にも確か2つほどあったはず)
- メクトンZ(ロボロボ)
■国内RPGで分析漏れ
- イース(やったことない)
- ウィザードリィ(密かに固定ファンありとか)
- 阿修羅ファンタジー(話題をほとんど聞いたことがない)
- パワープレイ(無印+プログレス)
- メタルヘッド(あー、忘れておった。D20もでるから重要)
- 蓬莱学園(これは要るだろう)
- ナイトメアハンター(ディープがでたばかり)
- 女神転生(あー。忘れてた。抜け多いな)
- サタスペ(同人時代も追う?)
- ゴーストハンター(2種類だけ)
- ワースブレイド(どれが初版でどれが二版なんだか)
- モンスターメーカーRPG(これも版多いな)
- ブルーフォレスト物語(これも2種類?)
- フォーチュンクエストTRPG
- クリスタニア(2版というほどのものはあったのか?)
- 央華封神(同人で2版は出たが、サタスペを入れるかによって変わる)
*1:サポート中止が齋だったか不明なので?とした
*2:ここの詳しい情報はすべてまりおんさんによるものです。感謝!
*3:ケイオシアム版。見た人はほとんどいないらしい(まりおんさん情報)
*4:ケイオシアム版。RQ黄金時代(まりおんさん情報)
*5:左が次の版までの年数、右がサポート終了時の年数。アヴァロン・ヒル版。日本語版に翻訳されたものはこれ。サポートは1994年の Lords of Terror で終了。それ以後は同人 Tales of the Reaching Moon などでサポートが継続される。(まりおんさん情報)
*6:なんぞこれ。
*7:なんぞこれ。
*8:FASA倒産後、Living Games社が版権を持つことに。D&Dに負けたということかもしれない。
*9:天羅WARは版上げしていないテラ=ザ・ガンスリンガーも関係するため、別作品と考える。
*10:芝村裕吏 2004 「Aの魔法陣」 大徳哲雄編 『アルファ・システム サーガ』樹想社 241.
*11:有名の尺度はだいぶ恣意的だが、少なくとも、私が東京在住で秋葉原OR西新宿Yellow Submarineに行けばほぼ確実に手に入るものについてはなるべくくまなく入れたつもりだ。WIZ、女神転生、メタルヘッド、ゴーストハンターは入れなければならない。