GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

2007-2012まで運用していた旧はてなダイアリーの倉庫です。新規記事の投稿は滅多に行いません。

シャドウランの各版紹介

 高校生のころからなけなしの金をShadowrunの洋書につぎ込んできました。
 2版と3版合わせて合計40冊はくだりません。
 Shadowrunを教えてくれた地元の先輩と融通している関係で、合計50近くの蔵書になるんじゃないかしら。
 引越し先の本棚のShadowrunコーナーは(D&DWoDやRQの専門家には負けるでしょうが)、20代前半の人間の本棚としては結構キモいです。やめたほうがいいと思います。*1

 ところで、シャドウランの〈版上げ〉というのは、シャドウラン〈背景世界〉である「第六世界」の年代変更とセットになっています。
 対応で言うと、こんな感じ。

bold;">Shadowrun First Ediiton(SR1):2050年〜2052年の3年間。武器のダメージコードで「4S3」とか「6L1」とかがあり得た。初版では使えたはずの即死呪文「ターン・トゥ・グー」*2は、4版が出るまで封印されていた。
bold;">Shadowrun Second Edition(SR2):
Shadowrun

Shadowrun

2053年〜2059年の7年間。グループSNEによって日本語版翻訳もされた、ベテランシャドウランファンにはおなじみの書物。3版で基本ルールに組み込まれる「デッキング」「車両戦闘」のルール改変が行われたり、*3FASAのファンタジーTRPGアースドーン』とのクロスオーバー企画があったりと、*4冒険的な試みが沢山あった。
bold;">Shadowrun Third Edition(SR3):
Shadowrun

Shadowrun

2060年〜2069年の10年間。2版とは違い日本語版はなく、洋書で一生懸命読んで遊んでいたSRファンが沢山たぶん、それなりに、いた。なお3版展開の途中、版元のFASAが倒産するという大事件が起こった。TRPGの版権がWizkidsに移行。*5製作会社はFANPRO(ファンプロダクション)が担うことになった。「イニシアチブ」の劇的なルール変更により、魔法使いが遅くても結構強くなったり、日本帝国が災難続きでリベラル路線に転化したり、ハレー彗星の出現で猫耳娘が大量増産されてしまったり21世紀前半のUGEよりさらに大胆な容姿変貌が世界規模で起こったり、人間を食べてしまうグールがアフリカの西側に王国を作ったりと、これまた大変なことに。*62版とは打って変わって、スターウォーズっぽい感じになった? という感じ。
bold;">Shadowrun Fourth Edition(SR4):
シャドウラン 4th Edition (Role&Roll RPGシリーズ)

シャドウラン 4th Edition (Role&Roll RPGシリーズ)

2070年代を舞台にした最新版。2060年代末に、有線インターネットの限界が露呈してしまう大事件が起こり、その代替テクノロジーとして「強化現実」〔オーギュメンティッド・リアリティ/Augmented Reality, AR〕が大いに普及した。これにより、ウィリアム・ギブスンニューロマンサー』的な古典的サイバーパンク・テクノロジーから徐々に距離を取り始め、むしろ『電脳コイル』の世界の方へと近づいたといえる(もっとも、『電脳コイル』の放映はSR4発売よりずっと後だが)。ぶっちゃけこうなると『攻殻機動隊 Stand Alone Complex』と『電脳コイル』と『指輪物語』と『スターウォーズ』と『もののけ姫』を足して何も割らない、混沌とした世界。ルールは大胆に整理され、3版まではコンパニオンルールにしかなかった作成点(BP)システムが基本となり、優先度システムは撤廃された。*7国内TRPGデザイナーの朱鷺田祐介さんが翻訳の指揮を執り*8や、FRPG時代からShadowrunのファンジン活動*9に関わっていらっしゃったびじうさん*10やthalionさん*11も翻訳チームに参加していた。Shadowrunのファン活動で知られるJanusさんも、雑誌サポートを含め翻訳活動で広く活躍している。このSR4邦訳出版が実現したのは2007年。SNE日本語版出版(1994年)から実に13年後のこと。ファンにとって、とても嬉しい出来事だった。背景世界の方の動きについては、SR4の制作元がFANPROからCatalyst Game Labsへ移行したばかりのせいか、まだあまり明らかにされていないが、現在は公式サイトで、無料でダウンロードできるPDFシナリオ「Shadowrun Missions」シリーズが展開しており、そこで少しずつ2070年代の状況が明らかにされつつあるようだ。


 で、私が今、引っ越したばかりの本棚に抱えているSR関連書籍はこんな感じ。

■第二版(SR2)

  • 基本ルール
    • Shadowrun Second Edition(SNE日本語版,SR2)
    • Shadowrun Companion: Beyond the Shadows*12
    • Shadowrun Gamemaster Screen 2nd Edition (and "Contacts" booklet)
  • 魔法ルール/追加装備/追加設定
    • Grimoire: Manual of Practical Thaumaturgy
    • Awakenings: New Magic in 2057*13
  • 車両ルール/追加装備/追加設定
  • マトリックスルール/追加装備/追加設定
  • 戦闘ルール/追加装備/追加設定
    • Street Samurai Catalog*17
    • Shadowtech(SR1)
    • Cybertechnology
    • Corporate Security Handbook
    • Field of Fire
  • 背景世界ガイド
    • Underworld Sourcebook
    • Corporate Shadowfiles
    • Neo-Anarchist's Guide to Real Life
    • Germany Sourcebook
    • Tir Na Nog*18
    • Shadowbeat(SR1)
    • Threats
  • シナリオ集
    • Harequin's Back
    • Mob War!
    • Shadows of the Underworld

■第三版(SR3)

  • 基本ルール
  • 拡張ルール*21
    • Magic in The Shadows(魔法)
    • Rigger 3(車両)*22
    • Matrix(電脳)
    • Cannon Companion(武器)
    • Man and Machine: Cyberware(サイバーウェア)
  • 背景世界ガイド
    • Year of Commet
    • Corporate Download
    • Dragons of the Sixth World
    • New Seattle
    • Shadows of North America
    • Shadows of Europe
    • Shadows of Asia*23
    • Target: UCAS
    • Target: Smuggler Haven*24
    • Target: Matrix
    • Threats 2
  • シナリオ集*25
    • First Run

■第四版(SR4)

  • Shadowrun Fourth Edition(原書)
  • Runner Havens
  • シャドウラン第四版』日本語版
  • 『ストリート・マジック』日本語版

 さて、この財産をどう使おうか、という話です。
 実は私、SR2もSR3もSR4も、ルール・背景世界ともに、それぞれの良さがあると思っています。ですからもしかすると旧版システムを使ったセッションも今後平気でやってしまうかもしれませんね。
 もちろん、SR4には売れて欲しいので、そのためのセッションもガンガンやっていくべきでしょうが、SR2やSR3を捨てる気にはならないですね。

理屈はこの辺に。

■高橋2007.12.04「死んだシステムと、〈マスターリング〉の商品価値」
http://d.hatena.ne.jp/gginc/20071204
■高橋2007.12.13「主なRPGシステム・版上げの歴史を整理した。」
http://d.hatena.ne.jp/gginc/searchdiary?word=%a5%ae%a1%bc%a5%af

 とりあえず、4版の日本語版を遊ぶ際にも役立ちそうな旧版研究を、このBlogでちょぼちょぼ紹介していこうかと思っています。Shadowrun Missionsは翻訳出版で出るらしいですが、軽くリストアップして内容プレビューするだけでもだいぶ面白いかなあ。Shadowrunのシナリオ記法なんかについても語れれば、と思っています。

*1:あー、でもメガトラの箱とか、読まないまま置いてるわ。読むべきか

*2:T&T風に言うと「どろんどろんになりやがれ」とかですかね。

*3:それぞれ『ヴァーチャルリアリティ2.0』『リガー2』のこと。『リガー2』では「オープンテスト」の概念が初めて登場した。

*4:代表的な例は、エルフの騎士「ハーレクイン」が暗躍するシナリオシリーズや、ダンケルザーンの弟の話など。

*5:しかしXBOX360Shadowrunのゲームが発売されているということは、もう少し版権事情が複雑なのかもしれない。

*6:まあ、エルフの王国(アイルランド)とかトロールの王国(旧ドイツ領内)とか、世界中にゴロゴロ転がってるからいいんですけど。

*7:これはもしかすると、海外Shadowrunサイトで公開されている「ベスヤガ・コンプリート・カルマ・システム」(BeCKSv2)あたりのおかげで、優先度システムと成長システムとの間の齟齬が浮き彫りになったからじゃないかなあと思っています。作成時と成長時で、キャラの経験に特異点が発生して、うまくないんですよね。詳しくはhttp://tss.dumpshock.com/2004_10_23_becksv2/を参照。

*8:ちなみに朱鷺田氏は、FRPGの初代シスオペ「VICON」〔ヴァイコン〕として、優れたシャドウラン・セッションログを大量に生み出していた。彼のシャドウラン・マスタリングは「VSR」のコードネームで収録されていたが、今はNIFTY-RPGフォーラムのアーカイヴは消滅してしまっており、今は各人のオフライン・データとしてしか残されていない。

*9:http://www.venus.dti.ne.jp/jmuto/shadow/index.htmlなど。

*10:ちなみにびじうさん(旧HNはJUNさん)が執筆されたシャドウラン・ノベル三作「クロス・アウト」「アーガマ」「アグノースティック」は、今なおシャドウラン小説の最高峰であると私は(勝手に)思っています。ここで出てくるAgというキャラクターは、夏賀GMのもとで行われたシャドウラン・キャンペーンのキャラクターです。セッションログを読む限り、本当にこんなロールプレイでした。今読んでもそのリプレイは面白いですね。

*11:FRPGの翻訳職人として活躍されていました。シャドウランのソースブック“Shadowbeat”の面白さは、このthalionさんの力なくては知ることが出来ませんでした。

*12:先輩からの借り物。

*13:先輩からの借り物。

*14:これは数年前、旧サイト『Silver Funk』を開設したときにPanic!さんから頂きました。感謝、感謝。

*15:先輩からの借り物。

*16:これも数年前、Panic!さんから頂きました。感謝、感謝。

*17:先輩からの借り物。だった気がする。

*18:先輩からの借り物。

*19:これは厳密には「基本ルール」ではないが、シャドウランの冒険をやりやすくするために必要な知識の多くが詰め込まれているため、こちらに含めることにした。

*20:『スプロール・サバイバル・ガイド』と同じく、これも厳密には「基本ルール」ではない。しかし、2版における「コンタクト集」があるほか、シャドウランにおけるビズの手続きを紹介しているという点で非常に重要な資料である。

*21:第三版では、〈背景世界〉とルールセクションを毎回一緒に説明していたが、三版からは「エキスパンション」と「ソースブック」に分けて出版する傾向が顕著になった。

*22:改訂前のもの。Revisedは未購入。

*23:これはPDFで所持。

*24:これはHeavenではない。タックス・へイヴンのHavenである。注意。

*25:3版はそれほどシナリオ集に興味が持てなかったため、後回しになってしまっている。今後買うかもしれないが。