CD/DVDドライヴのないMacBook Airに、Mac OS Xをリモート再インストール&最適化する方法
MacBook Airの他Macからの移行の段取りをまとめた情報が、検索してもまとまったところで見つからなかったので、「移行アシスタントを使わず、あくまで再インストールから始めるMacBook Airの組み方」を整理しました。
(※筆者は一度iMacからの移行アシスタントでMacBook Airをセットアップしましたが、不具合が多く起きたため、このような段取りを取ることになりました。)
I. 再インストール準備編
(1) MacBook Airを準備する
MacBook Airを用意します。今回のMac OS Xインストールの対象は、断りがない限りMacBook Airのことを説明します。
(2) 「無線LAN環境」と「CD/DVDドライヴのついたPC」を準備する
次に、「無線LAN環境」と「CD/DVDドライヴ」を用意します。ここで言う「CD/DVDドライヴ」とは、CD/DVDドライヴが付いているデスクトップPCやノートPCを用意する、ということです。
無線LAN環境については、ここでは説明を行いません。今回の設定はすべてWiMAX Aterm WM3500R上のやりとりで行いました。PCについては、僕の場合、iMacG5を準備しました(Windows OS上でも、多少は異なるはずですが、リモートディスク機能を使えば同様のことが可能なはずです。具体的には各自で調べてみてください)。このiMacG5にインストールディスクを入れたあとは、無線LANを通じて、もろもろの作業を行うことになります。
マルチOSとしてWindows OSを入れようとしている方は、MacBook専用のドライヴが必要かもしれません。ただし今回はMac OS X 10.5 Leopard 対応のMacBook Airに対するものとして考えます。
(3) 母艦側のリモートディスク設定
デスクトップPC(今回の場合iMacG5なので、デスクトップにせよノートにせよ、Mac OS Xに準拠した解説を行います。これらのPCを以下、便宜上〈母艦〉と言います)のリモートディスク設定を行います。〈母艦〉側のMacの「システム環境>共有」で、CD/DVD共有をチェックします。
それから、MacBook Airに付属する『Mac OS X インストールディスク1』を、〈母艦〉側のドライヴ付Macに挿入します。その中に『リモートインストール』アプリのインストール・パッケージがありますので、それをインストールして下さい。インストール後、「アプリケーション>ユーティリティ>リモートインストール Mac OS X」を選択すれば、MacBook Air再インストールの準備が整います。
(最初からMac OS Xに『リモートインストール Mac OS X』が入っている場合も有り得ます。ただ、今回の僕のケースでは入っていなかったため、この段階から解説を行っています。)
(4) リモートインストールの開始
母艦側のMacの『リモートインストール Mac OS X』を起動してください。このアプリの指示に従い、作業を進めて行きます。
指示の途中、MacBook Airを再起動するよう指示があります。この時、再起動音が鳴ったと同時に「Option」キーを押せという指示がありますので、それに従ってください。Mac OS Xでは、起動直後に「Option」キーを押すことで、いつも利用するものとは別の起動ドライヴを選択可能にすることができるようになります。今回は、この機能を使って、(リモートインストールMac OS Xから遠隔送信される)Mac OS Xインストールディスクを選択するわけです。
Option起動を行った後、MacBook Airのディスク・アイコン以外なにもない状態になっているはずです。その下に、無線LANを表すバーがありますので、それをクリックしてください。該当する無線LANの暗号キー(WPA2とかAESとか、古いのではWEPとか言われているものです)を入力して、該当する無線LANがMacBook Airと関連付けられるようにしてください。これを設定した後、〈母艦〉のiMacに入ったインストールディスクの情報が表示されるようになったら、ひとまず作業は折り返し地点となります。
(※注意!:もし、無線LANの関連付けが終わった後もインストールディスクのアイコンが表示されない場合、以下の設定が上手くいってない可能性があります。(a)〈母艦〉側PCの『リモートインストールMac OS X』ないしその他のリモートディスク・アプリを利用していない。あるいは、CD/DVD共有の設定がうまくいっていない。(b) 無線LANの設定が整っていない。特に、IPアドレスやDNSの割り振りが〈母艦〉とMacBook Airのそれと違った設定にしている場合、回線が繋がらない可能性がある。(c) 無線LANルータやWiMAXなどの初期設定の不備。これらa,b,cのいずれかが上手くいっていないだけで、リモートインストールは成立しませんので、注意してください。)
(5) インストール・ディスクの読み込み
リモート・インストールが回線上で成立した後は、まるでドライヴを直接参照しているかのようにインストールディスクが読み込まれるので、2~3時間かけて2枚のディスクをインストールします。この時、充電アダプタは必ず接続しておくこと。
(6) 初期設定
インストールが終了した後、「言語選択」「入力方式選択」「プロフィール入力」などがありますが、適宜入力してください。『ことえり』が不要ならば、英字を選んでも大丈夫です。ネットワークが機能していれば、すぐにブラウザを起動し、『グーグル日本語入力』を検索・インストールしてしまえば問題ないので。
(7) ソフトウェア・アップデート
デスクトップ立ち上げ直後に、ソフトウェアアップデートを実行します。ここでまた数十分待ちますので、別の作業を行います。
ここまでの(1)−(7)の流れで、ひとまずMacBook Airの初期化は完了です。
II. アプリ導入&カスタマイズ編
これは自分が使っているアプリを中心に解説してゆきますので、適宜読み飛ばしてください。
(8) トラックパッドのカスタマイズ
まず最初に、トラックパッドを設定します。トラックパッドはマルチタッチであり、iPhone, iPod touch, iPadなどと同様、二本指、三本指タップができます。MacBook Airの『プレビュー』でPDF論文などを読むのに大変役立ちます(特に二本指タッチによるズーム・回転機能)。「システム環境設定>タッチパッド」ここで、二本指クリックがいわゆる「右クリック(control+クリック)」相当の動作になるよう調整します。
(9) IME(日本語入力エンジン)のカスタマイズ
次にIMEを準備します。僕の場合は、『Google日本語入力』をインストールすることにしています。フリーで手に入る日本語IMEとしては最高水準です。もし有料ソフトの『ATOK』『かわせみ』などをCDとして持っている方は、後の『iWork』インストールを参考に各自でインストールしてください。セットアップの初期設定で『ことえり』を選んだ方は、この作業を行う必要はありません(長らく独自のユーザ辞書を鍛えて来た方は、『ことえり』の方が使いやすいかもしれません)。
(10) Expose&Spacesのカスタマイズ
Expose&Spaceを設定します。「システム環境設定>ExposeとSpaces」を選び、それぞれ設定します。
Expose(エクスポゼ)は、マウスカーソルを四隅に当てるだけで特定の動作をしてくれるマウス系ショートカットです。画面がごちゃっとしている時にWindowsだとALL最小化コマンド(Win+M)などを良く使いますが、あれのMac OS X版がこのExposeにあたると僕は考えています。F9-F12にも普通に割り振れるのですが、マウスでできるとより便利ですので、「すべてのウィンドウ」「デスクトップ」「ダッシュボード」「アプリケーションウィンドウ」の4つをそれぞれ好みのところに設定するといいと思います。
Spacesは、いわゆる「仮想/拡張デスクトップ」です。単純にデスクトップの数が4倍になります。「だからどうした」という話ですが(笑)、特定の作業領域をある作業領域と区分してしまいたい(遊びとテキスト作成とiTunesは分けたい)と考えた時に、活用すると便利です。
(11) アーカイヴ&コミュニケーション系アプリの導入
アーカイヴ系のアプリとコミュニケーション系のアプリを一式揃えます。
- DropBox(オンラインストレージ)
- Evernote(クラウドメモ)
- Skype(チャット1)
- Live Messenger(チャット2)
- Tweetie+SIMBL+SIMBLプラグイン「ReTweetie」
このあたりが最初に入っていれば、デスクトップとの情報共有や、設定中のちょっとした問題なども人と相談できて便利です。独りで何でもやるより、時間を大きく短縮できます。
(12)『iWork』の導入
『iWork'09』をインストールします。これもリモートディスク機能を使います。Finderを開くと、「デバイス」一覧に「リモートディスク」が表示されていれば、〈母艦〉側で正しくリモートディスクが設定されていることになります(失敗していたならば、「システム環境設定>共有」のチェックを再確認してください)。そこからインストールを行います。
なお『iWork』シリーズを初め、文書・表計算作成系のデータは、「移行アシスタント」ユーティリティを利用して移動するとバグが増えるようです。この症状は初期設定ファイルが以前のPCからそのまま持ち越され、情報が食い違ってしまうことなどから起きるらしく、手動でファイルをいろいろ削除してみないと直らない(それでも直らない場合がある)ようです。
僕はもともと、MacBook Airに移行アシスタントで情報を写したのですが、そのために色々と問題が発生したため、今回の記事のような最初期化を試みるに至りました。
なお余談ですが、『Number』では「option+Return」で「セル編集モードに移行する」ができます。Win Excelにおける「F2」ですね。見つかりにくい情報なので、Numberユーザの人は覚えて置いて損がないと思います。
(13) OpenOffice.org(OOo)
『OpenOffice.org』を導入します。これはWord・Excel系の読み込み対応のためです。もし『Office for Mac』がある方は、iWorkと同じようなやり方で導入してください。OOoは無料で利用出来るぶん、不安定で動作の重い瞬間がまだまだ多いので、自己判断で付き合い方を考える必要があります(ただし、時にiWorkに負けない性能を持っている部分もあります)。
導入後、上のメニューバーから「設定…>OpenOffice.org Calc>全般>『□Enterキーを押して編集モードに切り替え』のチェックをつける」ところまで行けば、初期設定のまま使うよりもずいぶん使いやすくなります。
(14) 辞書系アプリの導入とカスタマイズ
辞書系アプリを整備します。市販している『英辞郎』CD(自分は第三版を使っている)をリモートディスクで導入します。合わせて、『DiDi』 (英辞郎対応ビューア)を導入します。最後に、Macのデフォルト辞書アプリのメニューで設定を選んで、「New Oxford American Dictionary」のチェックをONにします。これで、Spotlightから英英辞書が引けるようになります。
(15) その他おすすめ
その他、好きなモノを揃えます。Mac OS Xでは
- Mail設定(pop/smtpの対応付け等)
- iPhone Explorer(iPhoneからボイスメモなど各種データを抽出するアプリ)
- OnyX(Mac OS X対応の総合メンテナンスアプリ)
- CotEditor(Mac OS X対応テキストエディタ)
- FireFox3.6 or Google Chrome (Safari以外のセカンド・ブラウザ)
- The Unarchiver(解凍アプリ)
- LadioCast(音声制御1)
- Soundflower(音声制御2)
あたりがあればもういいかな、という感じです。今後は論文制作の効率アップのためにMacTeXなども検討していますが、当分先になりそう。
III. 終りに
この作業は、2011年01月中旬にWiMAXを導入したことがきっかけで書かれるに至りました。僕の自宅ではiMacG5(IntelMacではなくPPC,Mac OS X 10.5 Leopard)、MacBook Air(IntelMacかつMac OS X 10.5 Leopard)、iPod touch(カメラ付いてない最後の世代、iOS4.2)、auの薄型お財布ケータイ(K002)の4つが揃っていました。
これを1つの無線LANでまとめ上げると、
という風になり、実質「SoftBankのお世話にならずに、首都圏でiPhoneとほぼ同じ環境が得られる」という念願の状況を手にしました。
そんなわけで、最も恩恵にあずかれたのは自分の手元のiPod touchだったわけですが、昨年末に入手したMacBook Airの調整が特に難しかったので、こうして整理した次第です。
デスクトップ/ノート/モバイル端末の回線を統合しようと考え中の方の参考になれば幸いです。