GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

2007-2012まで運用していた旧はてなダイアリーの倉庫です。新規記事の投稿は滅多に行いません。

070401_T&T第7版 旧版からの変更点

トンネルズ&トロールズ 第7版 (Role&Roll Books)

トンネルズ&トロールズ 第7版 (Role&Roll Books)

『トンネルズ&トロールズ 第7版』が、第5版(社会思想社版)とどれだけ違うのかを列挙してみました。

■キャラクター作成まわり

1.能力値が8つに


 能力値に〈速度(SPD)〉と〈魔力度(WIZ)〉が導入され、基本能力値が6つから8つになりました。


 〈速度〉について。この〈速度〉は、5版の「移動ルール」における基準値となった〈速度〉とはまったく異なる概念の能力値であることに注意してください。〈速度〉は5版では移動距離を計算する際の補助的な能力値でしたが、7版では「反射神経」として捉え、戦闘における「個人修正」に関わる能力に昇格しました。その一方で、旧版に記述されていた移動ルールは7版では整備されていません。ゲームマスターは移動や荷重の判定についてハウスルールを別途用意する必要があります。


 また〈魔力度〉は、5版で魔力消費の基準になっていた〈体力度〉の代わりに消費することになる能力値です。また、非魔法能力者が魔力抵抗の際に用いる能力値でもあり、戦士やモンスターにとっても非常に重要な能力です。
魔術師の戦略を決める上で、この〈魔力度〉は敵味方双方にとって非常に大きなウェイトを占めるようになります。7版では、《これでもくらえ!》を一発撃った後の魔術師が完全に無力化することもまれではありません。*1

2.個人修正の基準能力値が3つから4つに


個人修正が〈体力度〉〈器用度〉〈速度〉〈幸運度〉(STR, DEX, SPD, LK)の4つの修正で算出されるようになりました。「能力値-12(=プラス修正)」ないし「能力値-9(=マイナス修正)」で個々の修正を算出するのは旧版と変わらず。

*2

3.【選択ルール】ポイント割り振り制


「上級ルール」という名前の、ポイント割り振り制のキャラクター作成方法が紹介されました。
点数制で落ち着いて作りたいという人におすすめ。

4.生死の基準はCON:-10


生存/死亡の基準が変わりました。
〈耐久度(CON)0〉から-10になります*3
CON:0は昔なら死んでいましたが、7版ならまだ瀕死になだけです。
もちろん、放っておけば、遠からず-10まで下がって死んでしまうかもしれませんが、どうなるかはSR次第です。

一方で〈体力度〉と〈魔力度〉は10分(つまり1通常ターン)ごとに1点ずつ回復します。
これは5版とあまり変わりません。昔は魔法消費は〈体力度〉を使っていたのが、〈魔力度〉を減らすから2つになっただけです。

5.言語の選択について


言語が知性度に依拠することは新旧ともに同じですが、肝心の言語表が7版にはありません。
トロールワールド*4に即した追加言語を取得する際は、5版の言語表を参照してください。

6.【重要】「キャラクター・レベル」概念の変更


キャラクター・レベルが経験点(xp)基準から能力値基準になりました。今後は職業ごとに定められた適性能力値のうち最大のものが、キャラクターレベルを決定する変数になります。
キャラクター・レベルの基準は、実質「適性能力値の10の位と同じ」と考えればよいでしょう。幸運度が29の盗賊はレベル2ですが、経験点2900を支払って30になれば、そのキャラクターはレベル3になり、新しいタレントを取得することができます。
7版でキャラクターをレベル10にするためには、最低1つの適性能力値を100にする必要があります。Excelさんの計算が正しければ、能力値10から一度に100にするには490,500点分の冒険点が必要です(もちろん、これだけ上げていくわけにもいきませんから、実際にはこの倍以上になるでしょう)。大変ですね。

なお、レベル上昇の利点は「セービングロールの失敗救済措置」(後述)と「〈タレント〉の成長および追加」の2つです。
「〈タレント〉の成長」と「〈タレント〉の追加」は条件がそれぞれ異なりますので注意してください。「成長」は関連能力値が上昇した時、「追加」はキャラクター・レベルそれ自体が上昇した時になります。
この新しいキャラクター・レベルはまた、魔術師の呪文レベルとも完全に関係ないものとして扱います。*5

7.身長と体重について


身長/体重表のポンド=キログラム換算表が、端数切捨てから四捨五入に変わりました。
「1ポンド=0.45kg」なのは変わらず。身長とポンドだけで見れば、まったく変化ありません。
7版の表で十分対応できます。あとは好みです。

8.種族:エルフについて


DEX修正が「×1.5」から「×1.0」になりました。ほんの少しだけ弱体化しています。

9.種族:フェアリーについて


DEXとLKが「1.5」から「2.0」になりました。さりげなく強力です。

10.種族:ホビットについて

ホビット」の種族名称が「ホブ」に変わりました。能力値修正は5版のホビットそのままです。
*6

11.職業:市民について


新職業「市民」〔シティズン〕が追加されました。
「未熟」(個人修正が0.5倍)「反必要条件」(TARO適用キャラは市民になれない)の2特性を持ちます。
市民が魔法を使う際はINTとDEXで2回、SRを振る必要があります。
NPCを量産するのに便利ですね。

12.職業:盗賊について


盗賊は初期タレント[悪事]を自動的に取得します。INT, LK, CHRのうち最も高い一つを適性能力値に選び、1D6を足したものが初期技能値になります。その代わり、他のキャラクターのように、好きな初期タレントを取ることはできません。
「魔法の適性」はこれまで通りです。「正規の訓練を受けなかった魔術師」という立ち位置もほとんど変わっていません。
ただし、5版まではあった「7レベル魔法制限」は解除されました。

13.職業:戦士について


戦士にキャラクター・レベル分の追加攻撃ボーナス「戦士ボーナス」がつくようになりました。
防具ボーナスはこれまで通り2倍です。
この「戦士ボーナス」と「防具ボーナス」が戦士のすべてです(選択ルールでバーサーカー戦闘を導入しない限り)。
後はタレントでどうにかしましょう。

14.職業:魔術師について


「非戦闘員」「呪文の訓練」「魔法の適性」「集中道具によるなじみ」
これら4特性のうち、2番目の「呪文の訓練」が5版と異なります。
以前は知性度10/器用度8が最低水準でしたが、7版ではINT10/DEX10と、両方10でなければ魔術師にはなれません。
後述する魔術レベルの基準も、これにあわせて大幅に変わっています。

15.職業:専門家について


新職業「専門家」〔スペシャリストメイジ〕が追加されました。
これは「専門魔法使い」あるいは「分野魔術師」と言い換えたほうが通りが良いでしょう。
能力値決定の際に「魔力度15以上」を出したキャラクターだけが、この専門家を職業にすることができます。
[召喚][宇宙][代謝][戦闘]の4系統から1つだけ魔法系統を限ることで、魔術師組合から呪文を教わることなく、新しい魔法を覚えることができます。唱える魔法の消費量は自動的にすべて1/2(切り上げ)になります。

専門家が選べる魔法系統は1つだけです。4系統すべての魔法を扱うことについては諦めなければなりません。

16.職業:野伏せりについて


新職業「野伏せり」が追加されました。レンジャーの直訳ですね。
DEX決定の際、「TAROが発生」して「出目が15以上になった」場合のみ、選ぶことができます。早い話が、射撃の名手です。
野伏せりは[狙撃]という強力なタレントを自動的に取得します。基準値はDEXで、1D6は足しません。また、他のキャラクターのように初期タレントは取得できません。この[狙撃]が初期タレントになります。
この[狙撃]を使用すると、使用武器の射程内であれば、どんな対象についても命中判定を1レベルSRで済ませてしまうことができます(ここ、驚くところです)。この[狙撃]は、[弓術]といった通常の射撃系タレントとは別のものとして扱ってください。

17.職業:指導者について


新職業「指導者」〔リーダー〕が追加されました。
野伏せりと同様、〈魅力度(CHR)〉が「TARO発生」+「出目15以上」になれば、選ぶことができます。いわゆるカリスマですね。
指導者は[指揮]という強力なタレントを自動的に取得します。基準値はCHRで、1D6は足しません。また、他のキャラクターのように初期タレントは取得できません。この[指揮]が初期タレントになります。
この[指揮]は、社交系の行動で使用できそうなすべての判定を1レベルSRで済ませてしまうことができます(なんッじゃそりゃ)。この[指揮]は、[説得]や[魅惑]といった通常の社交系タレントとは別のものとして扱ってください。

18.職業:達人について


達人〔パラゴン〕は、5版で言うところの「魔法戦士」にあたります。
能力値決定の際に、すべての初期能力値が12以上になった場合にのみ選ぶことができます(1/360の確率です)。
5版の時よりずっと防具の使い方に習熟していることになりました。昔は追加+1点だったのに、7版では戦士と同様、「防御点が2倍」されます。「戦士ボーナス」がないだけですが、どちらもキャラクターレベルが低いうちは戦士とほとんど差が出ません(戦士の立場がないですね。まあ1/360だし)。
また魔法については、集中道具以外の魔力消費減少ボーナスは無くなり、キャラクター・レベルが10に達するまで独自の魔法を作成することはできない、ということになりました。さらに達人は魔術師組合に必ず所属していなければなりません。

なお、普通の魔術師は5レベル以上から独自呪文を作ることができます。これはキャラクター・レベルの基準こそ違うものの、一応は旧版と同じルールです。


■判定まわり

19.【重要】〈タレント〉


〈タレント〉のルールが導入されました。これは第7版で導入された最大の変更といって良いでしょう。
1レベルの際に、1人のキャラクターは「(関連能力値)+1D6」で決められる1つのタレントを持つことができます。これはプレイ中、旧来のSR〔セービング・ロール〕と同じように使われます。
この〈タレント〉のもっとも良いところは、技能名はプレイヤーが好きにできる、ということです(盗賊・野伏せり・指導者については、例外的に必須で取得するタレント名があります。各職業の説明文を読んでください)。
言語の冗長性を導入したことにより、T&Tはこれまでよりずっと応用力に富んだシステムとなりました。ただし、システマチックな面白さを維持するためには、GMの高い応答能力が求められます。もし公正な裁定を続けられるかどうか自信がないというのであれば、〈タレント〉ルールは適用しないことも考慮に入れるべきでしょう。
また、タレント能力の成長は、最初に関連づけた能力値を経験点で上昇させる際に、同時に「キャラクターレベル分」だけ上がっていきます。*7

20.キャラクター・レベルによるSR失敗時の救済ルール


SRに失敗した際、キャラクターレベルによる救済措置ができるようになりました。
SRに失敗した時の判定値にキャラクター・レベルを足して達成値を満たせた場合は、そのSRは成功したものとして処理することができます。ただし、この処理は失敗した時にしか適用されません。また、足したぶんの数値は、セービング・ロールによる経験点とは関係ありません。

21.【重要】判定:ファンブルの基準変更


ファンブルの基準が「4」から「3」に変わりました。出目[1.2][2.1]の2/36通り以外、ファンブルとみなされなくなります。

22.判定:TAROについて


TARO:Triples Add and Roll Over (3個のゾロ目は振り足して加える)のルールが、「能力値決(3D6)」と「所持金決定(3D6)」、その他の3D6判定に適用されるようになりました。
このルールにより、『T&T』では、“平均的”なキャラクターの存在可能性がぐっと減少しました。

23.判定:DAROについて


「ゾロ目は振り足し」というおなじみのルールが DARO: Double Add and Roll Overという呼称に統一されました。
TAROとDAROがT&Tの2大振り足しルールです。

24.射撃判定ルールの細かい変更について


射撃判定ルールから、「ターゲットの大きさ」に関連するSR補正がなくなりました。すべて距離関連のSR補正に統合されたものとみなしてよいかと思いますが、この基準が気に入らないGMは、旧版のアイディアを生かしてSRの修正基準を別途作って良いように思います。7版の距離修正は若干きつめになっていますので、甘めに作るくらいでちょうど良いでしょう。トロールくらいの大型生物であればSRレベル0.5倍くらいで良いかもしれません(フェアリーなら2倍、など)。

25.【重要】移動ルール/重量ルールの不足について


移動と重量に関する厳密なルール記述がばっさり削除されました。
これは5版では頭を悩ませる必要がなかった部分です。7版を使用するGMはキッチリこれについてハウスルールでパッチを当てなければならず、それなくして厳密な運用はできません(もちろん、厳密な運用をしないT&Tもいいのですが、重量制限が装備表に書かれている以上、厳密に使えるようにしておいたほうが良いでしょう)


5版の速度ルールをそのまま移植して遊ぶのが一番堅実ですが、悩ましいのは、5版で移動速度の基準になっていたSPDが、まったく違う意味で7版にも使われていることです。
代わりにMOV(Movement)とでも名づけて、5版ルールを適用したりするのが妥当でしょうか。ここについては絶対の正解はなく(そもそもT&Tに絶対の正解はないのですが)GMごとに解釈の余地があるところだと思います。DEXやSPDと絡めて修正したりしても良いかもしれません。
*8

26.【重要】戦闘:魔法・射撃の「ショック効果」について


旧版まであった「ショック効果」は、言葉としてはなくなってしまいましたが、一応7版にも自明のものとして存在すると考えられます。
詳しくはアダムト氏のここ(http://aracopole.hp.infoseek.co.jp/Portal/tabletalk/TandT/AdamtoHR-Combat.html#shock)を参照してください(ややこしいですが、大事な議論をしています)。

7版では、「魔法→射撃→乱戦」という手順でヒットを分割して計算せず、魔法も射撃も、まとめて乱戦のヒットに加えることになりました。この変更のため、どう処理するか、かなり悩みます。私も遊ぶ中でハウスを模索していくしかないかな、と思っています。
今のところの私のハウスルール「T&T7/!ターニング・オーヴァー」戦闘ルールは以下の通り。「魔法/射撃による戦場の混乱は強力なものとして解釈し、魔法/射撃の個々のダメージと差分値ダメージは別に適用する」ものとしました。(今後改訂する可能性あり)


(──ここから──)

  • A. プレイヤーが魔法/射撃の判定に成功する(失敗した場合は合計ヒットに影響しない)
  • B. 成功した魔法/射撃のダメージ値を合計する
  • C. 敵・味方の合計ヒットダメージを計算する。7版のルール通り、「魔法+射撃+乱戦」が合計ヒット。
  • D. 敵側のヒット合計から「B」で計算したぶんの値を引く(これが5版で言うところの「ショック効果」にあたる。ただし、敵の耐久度やMRはこの段階では一切下がらないことに注意!)プレイヤー側も同様に、敵の魔法・射撃のぶんだけヒット合計から差し引く。こちらもダメージ適用はなし。
  • E. 互いにショック効果を加味した後、改めてヒット値を比較する。ここまでダメージ適用はしない!
  • F. 勝敗が決する。差分値が負けた側に適用される。(ダメージ適用の開始!)
  • G. まず個々人に当たったとみなされていた魔法・射撃のダメージを敵・味方に適用する。
  • H. 差分値から魔法・射撃ダメージを引いたりはせず、そのままの値をダメージ適用に用いる。


(──ここまで──)

27.戦闘:バーサーカー戦闘について


バーサーカー戦闘は、公式7版の記述からはなくなりました(日本語版翻訳スタッフが説明していますが、実は5版の説明より若干不十分なところがあります)。戦士キャラクターが「タレント」をうまく使いこなした方がさいころを振る楽しみより面白くなる、と判断した場合は、適用しないでそのまま遊んでも良いかもしれません。私はどちらでも面白いと思いますが、ゲーマー的観点から言えば、バーサーカー戦闘を避けた方が知的に盛り上がると思います。*9

28.【重要】戦闘:悪意ダメージについて


Spite Damage(悪意ダメージ)が導入されました。今度の戦闘から、ダイス目で[6]が出た場合は、問答無用で相手勢力に[6]の出た数だけダメージが行くようになりました。
「拮抗した戦況はなるべく早く覆されるべき」というT&Tのコンセプトが、このルールによってより明快になりました。*10

29.戦闘:射撃準備ルールがなくなったことについて


銃器も含めた射撃ルールに「準備」の概念がなくなりました。火縄銃だけでなく、クロスボウの巻上げ等、射撃武器の準備に関するルールも書いてありません。
(そもそもクロスボウは7版から手で引くようになったようですが、これは「さすがにクロスボウだって準備時間に120秒もいらないだろ」というデザイナー側の解釈を、変則的に表したものと捉えてよさそうです)
ただ、不意打ちや、1戦闘ターンが10秒単位で測られたりする場合、あるいは準備時間がたくさん必要な大砲などの武器については、準備時間の基準を各GMで整理しておく必要がありそうです。
*11

30.【重要】戦闘:新しいモンスターレートの管理法


モンスター・レート(MR)の管理方法が変わりました。最初の計算方法自体は変わっていないのですが、ダメージ管理の際の計算方法が様変わりしたのです。具体的には、MRが下がっても、xD6の「x」の値がまったく減らなくなりました。モンスターが強くなったのですね。*12

31.悪意ダメージとモンスターの特殊能力


スパイト・ダメージ[6の出目]の数によって、モンスターがどの特殊能力を出すかどうかを自動的に決められるというオプション・ルールが紹介されました。結構面白いルールだと思います。


■データ・装備品まわり

32.装備:食事の管理について


「保存食と水」が装備表からなくなり、携帯食料がかなり細分化されてしまいました。
選ぶのが楽しければそれでかまわないのですが、プレイグループが面倒だと感じるのであれば、機を見て保存食の金額と重量をハウスで考案することをおすすめします。

33.乗馬関連のルール追加


乗馬関係の装備が導入されました。したがって、奴隷ルールを解釈して馬を購入するとみなす」といったアクロバットをする必要がなくなりました*13
ただし、乗馬のルールは7版には明記されていませんので、それについては相変わらず、GMが各自で補足する必要があります。

34.一般装備の記述


一般装備が金貨(GP)ではなく銀貨(SP)基準で表記されるようになりました。
GP換算で買い物をしたい場合は、SP価格を0.1倍してください。

35.奴隷と雇い人


「奴隷(10GP/能力点)」と「雇い人(2GP/能力点)」のルールがなくなりました。『T&T』で奴隷商人を出したい、という稀有(?)な人は、旧版ルールを導入してください。ほかのゲームにはない良いルールなのですが。

36.武器・防具のデータ変更点もろもろ


武器・防具のデータが若干変わっています。価格が2倍になったり、1/10になったり、名前が和訳になったり、必要STR/DEXが変わったり、新しい武器・防具が増えたりしています(特に防具は、分類からしてだいぶ様変わりしています)。エラッタも一部あるので、それはSNEの公式サポートページを確認してください。


基本的には、5版の武器・防具データ表そのものについては、ほとんど見返す価値がなくなったと考えて良いと思います。盾や篭手付武器などの特殊ルールで、わかりにくいところだけ見返すべき点が少々あるくらいでしょう。武器や防具の解説については相変わらず巻末にぼってり載ってますのでご心配なく。

37.鋼鉄以外の素材


7版には鋼鉄以外の素材についての説明がありません。これにより、鉄器時代以前の再現や、魔法の武器について考えることができなくなっています。
ルールを追加したい方は、5版のp312以降を参照してください。

38.魔法使いの杖


魔術師の杖の種類が増えました。基本は相変わらず金貨100枚の樫の杖ですけれど。

39.マジックアイテム等


ポーション,マジックアイテム,宝石等に関するより詳細な説明がつきました。
ただ、宝石ルールについては5版p274「宝物作成法」を参照した方が良いでしょう。

40.電撃運用と魔法


「とっさの反応」ができなければ魔術師は呪文を使えなかったとしても良い、という記述がなくなりました。
個人的には、T&Tはスピード運用で引き締まるという思想を伝える良い記述だと思っていたので、5版を知っている人は7版でも事前承諾を得た上で使っていいように思います。


■魔法まわり

41.魔法リストの変化


20レベルまであった魔法リストが、13レベルまでになりました。
ただし、13レベルに必要なINTとDEXは各々100ずつなので、ほとんどエピックの領域です。能力値合計200点を上げるために必要な冒険点は約1,000,000点です。14レベル以上(最低経験点約180万以上)は、神の領域と定義されました。
ある意味、昔の20レベルよりとりづらくなっているかもしれません。魔法レベルの尺度が変わったものと解釈してください。

42.【重要】「クレムの抵抗」とバッド・フィーリング


魔術行使に「嫌悪感(Bad Feeling)」という概念が導入されました。
これは「クレム抵抗」という魔術行使者にだけわかる独特の感覚で、自分の(現在の!)魔力度より高い相手に魔法をかけようとすると、そのかけようとする対象から「嫌悪感」を感じるということになっています(あくまで絶対的な差ではなく、その時その時の魔力度の差であることに注意してください)。


なぜこんなルールがあるのかといえば、第7版からは、「自分より魔力度が高い相手には、自動的に呪文抵抗されてしまう」というルールが導入されたからです。
したがって、魔法使い系のキャラクターが呪文をうまく使うためには、まず魔力度を相手より高く持たなければなりません。相手が魔力度の高い戦士だったりしたら、これは魔術師にとって相当厄介なわけです。相手の魔力度を下げなければ、魔法を使っても意味がない、という状況が7版では多発します。


ただし、その一方で、「自分より魔力度の高い相手に魔法を撃つと、自分が消費した魔力度分だけ相手の魔力度も減少する」というルールがあります(もちろん、使った分は自分の魔力度も減ってしまうわけですが)。
これをどう戦略的に生かすかが、第7版の魔術戦の肝になります。このあたりの機微は、実際に遊んでみるまでわかりにくいかもしれません。

*1:この魔術戦の変化については、後述する「クレムの抵抗」を参照のこと

*2:例) STR13(+1), DEX17(+5), SPD10(0), LK6(-3)の戦士Spiteの個人修正は「1+5+0-3=3」つまり+3。  Spiteがテルビューチェ(3D6+5)を持って戦闘をしている時、彼は「3D6+5+3」、すなわち「3D6+8」の攻撃力を持っているとみなされる。

*3:D&D3e慣れしている人は受け入れやすいと思います

*4:T&Tの公式世界観「トロールワールド」については、id:pirokiさんのhttp://d.hatena.ne.jp/piroki/20051117#p1:トロールワールド年表を参照してください。「トロール族」「カザン」「レロトラー」「カーラ=カーン」あたりが分かっていれば、後は個別世界観でも何でも好きにやればよいとは思います。それにしても素晴らしい年表ですね。

*5:魔法の取得も、INTとDEXを基準とする完全能力値制となりました。

*6:イギリスのファンタジー学者を尊敬して、より原型に近い形に変更しました」みたいな但し書きをしていますが、このコメントは、名称変更に関するケンの諧謔に違いありません。

*7:例) [悪事:24]をもつ3レベル(最大能力値は幸運度20)の盗賊がいます。彼の悪事タレントは〈幸運度(LK)〉に準拠すると決めていたので、幸運度20を21に上げた時、[悪事]もそれに合わせて24+3で[悪事:27]に上昇しました。しかし、レベルアップ時に取得したタレント[軽業 19]は器用度準拠にしたため、そちらの方は何も変わりません。

*8:ちなみにファイアリー・ドラゴン社が開発したT&T選択ルールでは、人間の速度は「10秒あたり9m」を基準に処理されています。これも一応参考になります。

*9:悪意ダメージではなく、固定値3でやる場合は、バーサーカー戦闘はない方が良いでしょう。私はひとまず適用しない方向でセッションしようかと考えているところです。

*10:そのかわり、固定値3とみなして毎ターンの戦闘を計算するようなやり方は、悪意ダメージの導入によって使えなくなりました。悪意ダメージ3も固定値3も、ダイスを振る/振らないの違いこそあるものの、戦略に関して言いたいこと=コンセプトは似たようなものだと私は思います。GMやプレイヤーの好みによって使い分けてよいと思います

*11:それにしても、史実の武器考証なんて、最近なかなかやらなくなりましたね。それだけ国産製品が親切だということでもあるのですが……。

*12:例) MR86のトロールは9D6+43のダメージ値を持っている。彼は50のダメージを食らってMRを36まで下げた。しかし、彼のダメージ値は4D6+18ではない。次のターンも9D6+18で敵を倒そうと殴りかかってくる。

*13:Aの魔法陣』デザイナーの芝村さんが5版の不備を埋めるためにこの方法を使っていました。しかし今回、装備表についに登場したので、7版ではその必要がなくなりました