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『筑波批評2009夏』(夏コミ・特集「ゲームの思考」)に寄稿しました

「今回の『筑波批評』はゲーム特集で行こうと思ってますので、高橋さん、寄稿してくれません?」

 と言われまして、よっしゃやったると思って原稿出しました。
 本当は『筑波批評2009春』(文学フリマ号)にD&D赤箱論を出すつもりだったのですが、筑波批評の方が落ちまして。実はこの時のD&D論がショボかったので、落ちてくれて結果オーライでした(D&D論は、今回の原稿とかぶらない部分をリライトして公開したいと思います)。

 よく考えてみたらこれが人生初の夏コミ参戦になりますね。
 筑波批評社からの告知を参考に宣伝させていただきます。

筑波批評2009夏』(特集・ゲームの思考)が、コミックマーケット76にて発行されます。
「僕たちはゲームの中に生きている。
その中で確かに脈打つ隠れた思考を炙り出す、ゲームをめぐる新しい言葉が今ここに!」
 濃密な理論が展開されたアツい一冊となっています!

 ゲームに興味のある方にも興味のない方にも、「ゲームから考える」ことの面白さを伝えられることができればいいと思います。

■『筑波批評2009夏 特集「ゲームの思考」』基本情報

 筑波批評社のページに、紹介動画もありますのでそちらもご覧ください(USTの動画が巧く貼れませんでした)。
 ゲーム“レビュー”的なものは何一つないのですけれども(笑)、結果的に、これまでのゲーム的な作品について新しい楽しみや解釈をもたらすための道具立てが、一同に会した特集号になっています。私も当日、完成版に出会うのが楽しみです。
 各者の論文についても本当は色々とリコメンドしたいところが沢山あるのですが(まだ塚田・山本論文しか読んでないけど、どれもものすごく面白い)、また今度時機をみてご紹介したいと思います。

 ところで今回、私が書いた批評は、TRPGでもしばしば取りざたされる〈英雄〉と〈個人〉について論じたものです。ゲーム作品におけるヒロイズムや個人の表現を、物語論的な見地からではなく、あくまでゲームデザイン論、あるいはゲームの表現史の立場に限定して解釈して行ったら、どんな風景が見えるだろう、そういうことに挑戦してみたつもりです。
 取り上げた具体的なゲームは、ウォーゲーム一般、『ドラゴン・パス』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』『ロマンシング・サ・ガ2』『高機動幻想ガンパレードマーチ』です。特に『ドラゴン・パス』の数値表現に関しては、途中Runequestシリーズに詳しいまりおんさんから貴重なアドバイスを頂きました。この場を借りてお礼申し上げます(なお、あくまで表記等に誤りがあった場合の文責はすべて私にあります)。
 今回は、ゲーム批評、特にそのサブジャンルである「TRPG批評」を行う上で避けて通れない多摩豊氏の『コンピュータ・ゲームデザイン教本』の問題意識がベースにあります。私のブログを読みに来てくださっている方は主にアナログゲーマーの方が多いと思われますが、アナログゲームの人間がデジタルゲームの進展についてどんな可能性を提示できるか、そういう点についても意識してみたつもりです。
 今回、元の赤箱D&D論から今回の論へ再構築する際に手間取ってしまい、責任編集のシノハラ君には大変ご迷惑をおかけしました。ソワカちゃん電奇梵唄会修論構想発表が挟まったとはいえ、自分の考えていることの規模もちゃんと把握できず悶々としているようでは、先が思いやられるなあと反省しております。どうもすみません。シノハラ君に春先の原稿を精読してコメントしてもらった結果、ようやく納得の行くクオリティのものが作れたと感謝しています。
 ともあれ、これからの夏が楽しみです。

*1:私は「東ミツバチa」と覚えた。