村山由佳『BAD KIDS』
- 作者: 村山由佳,音部訓子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1997/06/20
- メディア: 文庫
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id:i-Agの影響を受けて読む。
初めて読んだ村山の『天使の卵』はそんなにピンとこなかったのだけれど、ここで村山が書いた数々の仕掛けはとても面白かった。小説以外のどこかに還元して説明できそうかな? と思いながら読めるのだが、実際にそうしようとしてみるとまったくそうでない感じがとても新鮮。
たぶんこれは漫画にするのも、映画にするのも難しい、小説ならではのものだ。この話を面白くしているのは、行間でたっぷり詰め込むことができる妄想の余地だと思うからだ。
村山由佳は、耽美な情景を「提供する」のが巧い作家かもしれない。耽美な情景を「書く」のがうまい作家はいくらでもいる。けれど、巧く「書けた」からといって、その描写によって耽美な情景をどんな人にとっても楽しませられるよう書けているかどうかは別である。そこから一歩踏み込んで「提供する」には、また別のテクニックが必要になるのだろう。
自分はこういう方向で村山由佳を読むと、とても面白く読めるだろうと思った。