2008-05-27 中沢新一『はじまりのレーニン』 はじまりのレーニン (岩波現代文庫)作者: 中沢新一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/06/16メディア: 文庫 クリック: 11回この商品を含むブログ (30件) を見る 共産主義者としてのレーニン像を、 唯物論の先行としてのデモクリトス思想 ヨハネ福音書およびグノーシス思想 東方教会由来の三位一体論とヘーゲル哲学 の3題話によって組み替えるという奇書。 ごめん、正気度下がっちゃったよ。でも、読み物としては非常に面白かった。少なくともレーニンの「笑い」について活写した中沢新一先生は、なるほど優れた文筆家だな、と思いました。最後まで一気に読ませる筆致。「ΩΩΩ」が何度アタマをよぎったか数えきれませんが。*1 グノーシスやキリスト教神秘主義に興味がある方は読んでみてもよいかもしれません。参考文献も意外と充実しています。 *1:つまり「な、なんだってー」。虚仮にしているのではなく、私程度の哲学・宗教学知識では検証しようがない領域にダイブしているのですね。だから鵜呑みにするわけにいかないのですが、魅力的な説ではあります。共産主義者として視るよりは、ロシア・ドイツ・ヨーロッパ思想からレーニンを脱構築するという態度には感銘を受けました。思想家としてのヘーゲルに改めて興味をもてたのが、今回の読書における最大の利得です。