GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

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R=W記事について訂正/R=Wメカニズムの言語的位置づけについての補足記事

 「著作権スタンスとR=Wの同人活動のスタンスは関与していない」という指摘を頂きましたので、ここに訂正記事を追加させていただきました。

■高橋,2009.09.04,「Vampire.Sさんから聞いたRuneWars設計思想メモ」
http://d.hatena.ne.jp/gginc/20090904/1252049460

 お読みになった方はぜひ修正事項にもお目通しいただければと思います。「同人活動としてのR=Wのユルさ」が、混ぜものなしで比較的精確に反映されたと思います。

 さて、Vampire.Sさんに再びR=Wメカニズムについて質問する機会がありましたので、そのログを纏めてみます。
 今回は主に高橋の[メカニズム]という概念、および「内部物語/外部物語」に対する誤解を解いて貰ったものです。この記事はいずれRuneWarsWikiに転載しておく予定です。

[メカニズム]において自然言語形式言語はそれぞれどのように関係するか

(前後の文脈は省略)

Vampire.S: Vampire.S: 私が以前から主張していることは、“形式的データであっても、いわゆるフレーバーテキストであっても、それは“プレイヤーとゲームマスターに対するデザイナーからの指示事項である”という点で、変わりはない。したがって、これらデザイナーからの指示事項のことを、包括して“メカニズム”と呼ぶ”というものなので、たぶん、GGINCさんは“メカニズム”という言葉の意味を誤解しているかと思います。

 メカニズムは、形式言語に限定されていません。ただし、メカニズムはとにかく文書になってプレイヤーとゲームマスターに届けられているモノであるのに対し、ポリシーはドコまで頑張っても黙示でしかなく、一般には記述されないということに対立があるわけです。

 話を戻すと、そういうわけで、R=Wのボード上に出現する各タームは全て固有のナレーションを有するわけですが、
志臣: R=Wで言うと、[テーブル]の[アクター]それぞれに対するデザイナーからの指示事項が[メカニズム]ですか。
Vampire.S: そうです。言語による明示的指示なら、形式を問いません。
志臣: それは、自然言語であっても形式言語であっても(というか両方ですね)よい。わかりました。そうか、ポリシーは「完全に言語化」はできないか。たとえ明示された部分があったとしても。
Vampire.S: というか、一般に、形式言語は常に自然言語に含まれるので(当たり前だ)、自然言語と仮定して一般性を失いませんが。ポリシーは言語化されていないモノを指しているので、
Vampire.S: 言語化されていたら、それはメカニズムです。
志臣: なるほど。そうですね。集合で書くと、「形式言語自然言語」ですか?
Vampire.S: 形式言語自然言語、で記法は正しいです。
志臣: 了解です。ありがとうございます。

「明示化されたポリシー」は[ポリシー]か、それとも[メカニズム]か

志臣:あ、ログを編集していて気づいたのですが。[ポリシー]には、明示化されたポリシーと暗黙のポリシーの両方がある(そしてポリシーは本質的には暗黙的である)という理解でいいんでしょうか。
Vampire.S: 明示化されたポリシーって、ありましたっけ? 明示なら、既にメカニズム、というのが現在の私のスタンスなんですけど、過去においてどこまでそこに踏み込んだ発言してたかどうか、記憶が定かではないので。
志臣: えーと、メカニズムデザイナーの側が「こういうものをポリシーと仮定して」という、記述的な議論はあったように思いますが。……「あくまでそのような明示化されたポリシーはメカニズムの側に属するのであって、厳密な意味での[ポリシー]ではない」という理解でなら、「明示的なポリシー」というものは存在しないことになりますが。
Vampire.S: まあ、デザイナーが公式の立場で公式に(全てのテーブルを束縛する意図を持って)発言したら、全てメカニズムですね。一方、“このゲームにはこういった遊び方もあるよ……”という提案は、確かに“明示されたポリシー”にはなります。
 デザイナーの立場からすると、遊び方やメカニズム解釈に対する提案ぐらいが、明示されたポリシーのせいぜいかな。
志臣: 運用案のようなものとしての「明示化されたポリシー」というのは、認めうる。でも、基本的にポリシーは言語化し切れない。
Vampire.S: うーん。言語化しきれないというより、とにかく〔ポリシーには〕法源としての根拠を認めがたいということです。法源(メカニズム)から当然に解釈される内容ではあるんでしょうけど。 >ポリシー
志臣: なるほど。では、「明示化され言及可能なポリシー」とは「メカニズムのコンセプトになりうるもの」と置き換えたほうがよさそうですね。「法源としての根拠を認めがたい」確かに、言語化されていないものを法源にしにくい。仮説でも、言葉にしないと、メカニズムに盛り込めない。……なるほど、塩梅がわかりました。質問してよかったです。
Vampire.S: 究極的には、ゲームデザイナーが“皆さん、以下のゲームは“楽しく”プレイしましょうね”っていったら、それはメカニズムだ、という立場なんですよ。単に、述語“楽しく”の定義が明示されてないだけで。