GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

2007-2012まで運用していた旧はてなダイアリーの倉庫です。新規記事の投稿は滅多に行いません。

RPTools翻訳作業について

 以前から紹介している、総合オンラインTRPG環境ソフト『RPTools』について。
 私が忙しかったもので最近何も目立ったことを言っていませんでしたが、ここ数日で動きがありました。幸いにも開発者の人と直接英語で連絡を取り合うチャンスを見つけることができまして、今フォーラムで色々お話を伺っています(私も拙い英語でなんとか聞いているところです)。
 結論から言うと、「hard-coded(プログラムに直接埋め込んでおり、かんたんに英語以外の他言語には対応出来ないところ)な部分がまだまだ多く、一気に日本語にするようなことはできない。だが、もし君たちの持っている日本語化パッチを送ってくれさえすれば、次のバージョンから部分的な日本語化も実装できるかもしれない。ぜひ送ってほしい」ということだそうです。
 あとは、翻訳の際の解析を手伝ってくれた人によれば、日本語のロケールの問題もあるそうです。実際には「全て日本語化された環境でRPToolsを遊ぶ」という目標にはまだまだ遠そうなのですが、ようやくRPToolsの開発者と日本語ユーザーとが少しずつ議論できそうなきっかけが出来つつあるということで、お伝えしておきます。
 数年以内に実装されれば、たとえば『D&D Insider』ほどの手厚さ、ゴージャスさには届かないまでも、オープンソースな総合オンラインTRPG環境ソフトを使った、GMレベルでのサポートが沢山できるようになるのではないか、と思います。 
 今後は、RPToolsのマニュアル化の情報も含めて、こちらで提供していくつもりでいます。

RPTools日本語環境下運用サポートページ
http://kagirohi.net/trpg/index.php/RPTools

 さて、再度RPToolsのライセンスについて簡単にメモ。
 RPToolsは、「MITライセンス」のもとで提供されているオープンソースのソフトウェアです。
 データや更新情報はSourceforge.netで取得できます。

RPToolssourceforge.net)
http://sourceforge.net/projects/rptools/
■MITライセンスの説明
http://sourceforge.jp/projects/opensource/wiki/licenses%2FMIT_license(日本語訳)
http://opensource.org/licenses/mit-license.php(原文)

 MITライセンスとは、オープンソースソフトウェアが取得しうるライセンスの一形態で、「一切の無保証であることを前提に、そのままの形で提供される」ということのようです。動作に関しては一切の責任を負わないけど、まあ自由にやっちゃってー、みたいな感じかしら。

 Wikipediaにはこんな説明も。(おお、CC[BY-SA]を先日取得したお陰で、著作者さえきちんと書いておけば大手を振ってWikipediaから引用できる。Creative Commons万歳!)

■MITライセンス(by Gardiac, Nog, ほか)
http://ja.wikipedia.org/wiki/MIT_License

MIT LicenseはGPLなどと違いコピーレフトでは無く、オープンソースであるか無いかに関わらず再利用を認めている。BSDライセンスをベースに作成されたBSDスタイルのライセンスの一つである。MIT Licenseは、数あるライセンスの中で非常に制限の緩いライセンスと言える。

 それでも、今一番これを精力的に開発しているのはRPToolsの公式なので、自分たちで勝手にやるよりは色々お話を聞いて、協力して進めていった方が、日本語環境への導入には貢献できそうです。

 ところでオープンソースの定義についても、OSGに書かれているので再度確認(これはCC[BY]で提供されているので、著者名とURIを書くだけで、実質どこでも引用可能ですね。)

オープンソースの定義・日本語訳(八田真行訳、2004年2月21日)
http://sourceforge.jp/projects/opensource/wiki/Open_Source_Definition

  1. 再頒布の自由
  2. ソースコード
  3. 派生ソフトウェア
  4. 作者のソースコードの完全性(integrity)
  5. 個人やグループに対する差別の禁止
  6. 利用する分野(fields of endeavor)に対する差別の禁止
  7. ライセンスの分配(distribution)
  8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止
  9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止
  10. ライセンスは技術中立的でなければならない

 で、これを満たすオープンソースのライセンスは本当に沢山あるようです。その中で、MITライセンスはそれでもわかりやすい方みたいです。もちろん上の10個の定義の心持ちは分かっておくに越したことはないと思いますけれど。

 ここ数ヶ月で触れた本の中で面白かったのは、この本ですかね。

オープンソースの成功―政治学者が分析するコミュニティの可能性

オープンソースの成功―政治学者が分析するコミュニティの可能性

今後のロードマップ

  1. オープンソースでさまざまなニーズに合わせて提供される、総合的なオンラインTRPG環境の普及。
  2. TRPGシステムを頒布する際の著作権問題の整理、および、政治的にTRPGコミュニティ全体の効用を高めるような著作権限の運用(現状、Creative Commonsの適用方法の考察とその運用マニュアルの作成)。
  3. 上記二点の実践例としてのオープンソースTRPGシステムの開発。特に、パブリックドメイン(CC[0])で提供される、TRPGの基礎概念についての整理されたマニュアルの提供。
  4. それらを利用して、「それぞれ異なるシステムと背景世界を携え、個々にナラティヴ・ゲーム*1の面白さを伝えるパフォーマーとしての〈ゲームマスター〉たあち」に協力を仰ぐ。(以前から言っている「ゲームマスター副業化計画」)
  5. これらすべてを満たした上で、個々のゲームマスターがナラティヴ・ゲームのプレイ&デザインの魅力を、(時には無料の教材を使えるような状況で)個々に伝達すること。
  6. そのような裾野を提供することによって、TRPGデザインのプロフェッショナルたちがこれまで設計・販売してきた商品の価値を再検討してもらい、市場の健全化に資すること(もちろん、プロにとって有利に働くことを推測している)。

 というようなことを考えております。
 もちろん、数年でやろうとは思っていませんが。

*1:以前のようにImaginary Board Game と呼んでも良いが、最近はこちらの方が通りがよいかなと思っている。