GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

2007-2012まで運用していた旧はてなダイアリーの倉庫です。新規記事の投稿は滅多に行いません。

TRPG議論のルールブック/読む価値のあるロールプレイ論まとめ

 井上(仮)さんの昨年の記事を見つけて、面白かったのでここで紹介。
 スタイルシートが変わったのか、とても読みやすくなってますね。

井上(仮),2008,「TRPG系ブロガー入門 」(http://gamemaster.g.hatena.ne.jp/inouekari/20080916#1221524083,2008.09.16).

 TRPGに関して語ることの難しさがまとまっていると思います。こういう記事がもっと読まれるといいですね。「流儀」のところは、基本的には戒めとして読みながらも、色々思い出して笑ってしまいました。

 ところで、記事の中で言及されている岩田宗之さん(なんだか個人的に親近感のわくファーストネームです)が公開されている、各種ゲーム論考の存在をつい最近まで知りませんでした。*1
 特にここで語られているロールプレイ論は、おそらくMMORPG登場以降の、馬場秀和さんが活動した文脈とはまったく異なるところから改めてロールプレイ論を語りなおしたものとして、面白く読めます(しかも、馬場さんとは違い、歴史的文脈を省略せずに書いているのも重要です)。

 今のところ、私が参照価値があると考える(全肯定ではない。あくまで、議論を進める際に参考に値するだけの強度を備えている、という意味である)TRPGのロールプレイ論は、たぶんこのあたりになるのではないかと。

馬場秀和,2000,「キャラクタープレイのすゝめ」(http://www.scoopsrpg.com/contents/baba/baba_20000523.html,2000.05.23).
俵ねずみ,[2002]2004,「ロールプレイについての考察」(http://www.river.sannet.ne.jp/rojin/kousatu_roleplay.html,2004.11.12).
iwatam,2007,「ロールプレイについて」(http://iwatam-server.sakura.ne.jp/game/whatisrp/whatisrp/index.html,2007.02.23).
iwatam,2007,「ロールプレイとなりきり」(http://iwatam-server.sakura.ne.jp/game/narikiri/narikiri/index.html,2007.02.23).

 あとは、手前味噌ですが「イマジナリィ・ボードの提唱」(2005)も、上記論文の問題意識を継承して書かれた文章だと考えています。もっとも、そこでたどり着いたのは「ボードゲームデザイン」として再考した場合の〈ロールプレイング〉という話だったのですが。
 私の文書でよりわかりやすいものとしては、岡和田晃さんのウォーハンマー・リプレイに参加させていただいた時のロールプレイ分析ですかね*2。その前置き*3と合わせて、私のロールプレイ観を整理していると思います。これは今でもまったく変わりませんね。当ブログではかなり評判の良かったCoCセッションレポート*4も、以上のロールプレイ論を継承しているからこそ書けたものです。

 では、ロールプレイ論には別の流れは無いのか。たとえば今月に入って、acceleratorさんが平田オリザ的な演劇論に着目していましたが*5近年では白石直喜(2007)*6以外にはあまり出てきてないかな、というのが私の率直な感想です。
 進んでいるのは、(馬場さんはまあ、どうしてもプロパガンダで見る人が多いのでスルーしていただいたとしても)俵ねずみさんや岩田さんの方向での整理ですね。こっちはたぶん、簡単には無視できないでしょう。

*1:著書はこれだそうな。

議論のルールブック (新潮新書)

議論のルールブック (新潮新書)

*2:高橋志臣,2008,「RPGにおける〈プレイング〉の内実(2)――ウォーハンマーリプレイにおける高橋の〈意志決定〉プロセスを事例に」(http://d.hatena.ne.jp/gginc/20080303/1204513902,2008.03.03).

*3:高橋志臣,2007,「RPGにおける〈プレイング〉の内実(1)」(http://d.hatena.ne.jp/gginc/20071223/1198393681,2007.12.23).

*4:高橋志臣,2008,「Co-Con『クトゥルフと帝国』セッション(2008年01月19日@池袋旧日出小学校)」(http://d.hatena.ne.jp/gginc/20080121/1200932033,2008.01.21).

*5:accelerator,2009,「TRPGに役立てる平田オリザ流演劇論」(http://d.hatena.ne.jp/accelerator/20090207/p1,2009.02.07).

*6:白石直喜,2007,「演劇屋はTRPGの夢を見るか」『季刊R・P・G』国際通信社,4: 42-9.