Flying Kidsについて(スガシカオのラジオより)
ファンク音楽の話です。
前に書き起こしたNHK-FM「Sound Museum」スガシカオの回より抜粋しました。前回までの話は上のFunkTubeタグをクリック。
BEST OF THE FLYING KIDS これからの君と僕のうた
- アーティスト: FLYING KIDS,浜崎貴司
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1998/02/11
- メディア: CD
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08.Flying Kids「幸せであるように」─〈ファンク〉に日本語は乗せられるのか?
スガシカオ:
さて、えー、もう一つですね。邦楽からご紹介しようかなーかと思います。
でこれはもう、みんな色んなところで僕が言っているのでご存知の方も多いと思いますけども。僕がもっとも影響を受けたとされる……であろう、影響を受けたであろうバンドというのはFlying Kids〔フライング・キッズ〕ですね。
今は解散してヴォーカルの浜崎さんだけが残ってソロ活動やってらっしゃいますけれども、Flying Kidsはヴォーカルの浜崎貴司さんを中心とした7人組のバンド。テレビ番組……えー、オーディション番組『イカすバンド天国』で勝ち抜いて、90年にデヴューしたということで。その後13枚のアルバムを発表して、98年……僕がデビューした次の年ですけども、惜しくも解散。
あのーこれはだから、もう、随分前に解散しちゃったんで、覚えている人はそんなには沢山いないと思うんですけれども。僕ら世代はね、覚えている人いますけれども。
で、このFlying Kidsが目指すところっていうのは、やっぱり、〈ファンク〉っていう……「バンドでファンキーなサウンドをやりながら、メッセージ性の強い歌詞を浜崎さんが歌う」っていうスタイルだったんですね。
で、もともとは〈ワシントンゴーゴー〉っぽい〈ファンク〉をずっと得意としたバンドだったんですけれども。僕はあの、『イカ天』が出る前ぐらいかな。「クロコダイル」でやっているライヴをどうしても見たくて。
でもチケットが全然取れないんですよ! なので友達にヴィデオテープを……ハンディカムを持たせて。それで「とにかくもう隠し撮りでもなんでもいいから録って来てくれ!」っつって。「どうしてもチケットが取れないから!」つって、そんなことをしてでもライヴを見たかったバンドです。
それがあの『イカすバンド天国』で連続勝ち抜きでですね、あっというまにデビューが決まってしまって。そん時に聴いた「幸せであるように」っていう曲……あと「我思う、故に我あり」。
■「我思う、故に我あり」
……もうねぇ、僕あまりのショックにねぇ。1st Albumが出た後、全部聴いた後*1にねぇ。
「俺もう、音楽やる意味ないかも」って思っちゃったんですよ。
その……自分がやりたかったこと……メッセージ性の強い歌詞で〈ファンク〉、鋭い〈ファンク〉をやるっていうこと。全部Flying Kidsにやられちゃたんで。Flying Kidsが出た後しばらく一年ぐらいはですね、僕ね、音楽をね、バンドも辞めて。
「Flying KidsいるんだからFlying Kids聴けばいいじゃん!」
っていう感じでね、辞めちゃってたくらい! 衝撃を与えられたというね。衝撃だった、ですねえ。
だからそんな感じで、あのー、これから聴いていただく「幸せであるように」という曲をですね。うまいことこう……〈ファンク〉を。さっき聞いていただいた「Family Affair」とかね? あの辺のグローいリズムを上手に取り入れて、でも、ちゃんとメッセージ性のある、すごい、あの、人に元気を与えられる名曲になっているっていう意味ではね、「不朽の名作」だと未だに思っております。
で、僕デビューしてから浜崎さんとね? あの、仲良くなって当時の話とか聞かせていただいてですね。あのー、いろいろアドバイスを受けたり、すごいね、世話になってます。
さぁ! そういうわけでじゃあ、聴いて頂きましょう!
ね! コレはねー、本当に「参りました」って感じです。
Flying Kids「幸せであるように」。
幸せであるように心で祈ってる
幸せであるように心で祈ってる別れはつらくて でもみんな愛しあうのに
涙がなんでこぼれ落ちるのかな
声をふるわせて
ママも死んで
それでもぼくは君とキスを交わしてる
子どもが生まれてくれば懐かしい友のことなど
忘れるかもしれないよああこの想い君に伝えたくて
涙ながし 夜にふるえてる(Flying Kids「幸せであるように」)
お送りしました。Flying Kids「幸せであるように」。
……「君の涙をお皿に集めて全部飲みほしたら全てゆるされるかも」
……ね。
いやーーすごい。
「ママも死んで子どもも生まれて懐かしい友のことなど忘れてしまうかもしれない」
……いやーーーーーこれを〈ファンク〉にしたっていうのはねぇ!
もう改めて「Flying Kidsがいなかったらスガシカオはいない」ですね!
本当にそういう風に思います。僕もねぇ、そんな風に後の後輩のアーティストに言われるようなミュージシャンになりたいですね!
というわけで! ここまでは「スガシカオのルーツミュージック」と題してお送りしました。
*1:1stアルバム『続いてゆくのかな』の全11曲視聴音源はこちら。→http://listen.jp/store/artist_1000749.htm