GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

2007-2012まで運用していた旧はてなダイアリーの倉庫です。新規記事の投稿は滅多に行いません。

インデックスの効用、或いはキャラクターシートの〈索引欄〉

 仕事で、SPSSの出力資料と、Excelの統計データをつき合わせ、Excel上でデータをグラフ化していくという作業(の、末端部分)をやっているところです。まあ丁稚ですから。
 ですがこういった統計調査をやられた方ならご存知のように、SPSSの出力ファイルとExcelファイルとの間には何の関連付けもありません。ですからデータの並びまでバラバラ。こんなバラバラなデータを相互に見比べているうちに、作業スピードはどんどんと落ち込んでいきます。やる気もブイブイなくなっていきます。*1
 しかし、納期はそれほど差し迫ったものでもないので、せっかくだから色々と試してみたのです。自筆でデータの一部を落とし込んでみたり、冊子風に印刷してSPSS側のデータを見やすくしたり、参照の終わった項目をいちいちチェックしてみたり。
 でも結局、一番効率が良かったのは、SPSS側のデータカタログのヘッダに「○○〜××」といった索引用の文字列(インデックス)を付け加えたことでした。こうすると、ページ単位で検索ができるので、いちいち紙面を見る必要がなくなるのですね。もちろんそれこそが「索引」本来の用途であり機能なので、当然と言えば当然なのですけれど、この工夫一つで作業効率が数倍増したように感じたのは、疑いようがないところです。
 最初から導入されている索引(辞書・事典など)を使うことはごくあたりまえのようにやってきましたが、仕事でゾロゾロと出てくるベタうちのデータ用紙にこうして自分から索引をつけていく作業には、わりと新鮮な気付きがありました。便利ですね、「索引」。
 で、このインデックスを作っているうちに思い出したのが、F.E.A.R.社のキャラクターシートでした。
 実は私がF.E.A.R.社のセッションをやっていて「よいね!」と思ったことの一つが、キャラクターシートなんですよね。*2
 F.E.A.R.のゲームで遊ばれたことのない方むけに説明しておきますと、近年のF.E.A.R.社のルールブック付属のキャラクターシートには、一つ一つのデータパート(技能・特技・魔法・アイテム・その他)が書かれているページを書き込む欄がついているのです。そして、そのキャラクターシートの持ち主が、その項目に関連づけされた基本ルールブックや該当サプリを持っていさえすれば、すぐにそのデータの内容に直接ジャンプできるようになっています。キャラクターシートにページ数を記録しておくことで、人力のハイパーリンクをつけているわけですね。これはデータのTCG的な〈モジュール化〉を推進したF.E.A.R.のサービスと合わせて、かなり強力な情報管理テクニックだなと思います。松岡正剛なら「それこそ〈編集〉の基本形」とか言い出しそうですが、まあ今風に言えば“Life Hack”とかなのかしら。*3
 まあそういう基礎的な技術ですから、D&Dなどの海外RPGや、沢山の追加サプリが出ている国産RPGでも、「【ルールorサプリメントの略語】/p【ページ数】」という項目を小さくキャラクターシートに付け加えるだけで、だいぶプレイヤビリティが向上すると思うんですよね。『シャドウラン』四版でも、自作キャラクターシートにそういった索引欄を設けていた方がいましたし、これはデフォルトでキャラクターシートに組み込んでも良い項目だと思います。
 で、この話について他の方の意見も伺ってみたいので、とりあえずこの「データやルールの具体的な参照ページが書かれることを想定して埋め込まれた、キャラクターシート上の特定の空欄」のことを〈索引欄〉という名前で呼んでおくことにします。もし、「より使いやすいキャラクターシートを作ること」がよい〈ゲームマスター〉の上級〈運用〉の一つであるなら、この〈索引欄〉については、それなりに検討に値する項目になるんじゃないでしょうか。クリティカルに重要ではないと思いますけど、あればルールを繰って情報を見つけるストレスが大幅に軽減されると思いますし、プレイグループ間でのルール理解も飛躍的に高まると思いますね。

*1:「なくすなよ」「ごめん」

*2:レコードシートとキャラクターシートの区別などについても一応言及できるけれど、これはもっと詳細にやるべきなので別の機会にゆずることにした。

*3:松岡正剛の〈編集〉は「ライフハック」よりもずっと幅広い概念だろうが、ひとまずおちまさと『時間の教科書』的な見地から彼の話を読んだほうがわかりやすい局面も、けっこうあるように思う。歴史とか宗教とか神話の話をする際にさすがに「ライフハック」は使えないだろうが。