SPI社とルールブック記述
を読んでいたら、「SPI方式」について言及がありました。
「SPI方式」とは、平たく言うと「ディレクトリ構造を適用したマニュアル記法」のことです。たとえば、SPI方式のルールブックの目次は、こんな風に書かれます。
■SPI方式の例
- 『ずんどこべろんちょ』とは何か?
- 『ずんどこべろんちょ』コンポーネント一覧
- 『ずんどこべろんちょ』のゲームコンセプト
- ゲームコンセプト
- 勝利条件
- 『ずんどこべろんちょ』とその歴史的背景
- 謝辞
- ゲームセッティング
- 席順決定
- 2〜3人の場合
- 4〜6人の場合
- 7人以上の場合
- リソースの分配とその意味
- 〈音素〉カード
- 〈衒学〉カード
- 〈流行〉カード
- 〈発話者〉カード
- 〈空気嫁〉チップ
- 〈名声点〉
- ゲーム進行
- 〈ターン〉と〈フェイズ〉
- 〈ターン〉
- 話題決定ターン
- プレーヤーのターン(一巡)
- 流言飛語ターン
- 〈フェイズ〉
- 知ったかぶりフェイズ
- 情報検索フェイズ
- ホラ吹きフェイズ
- カード処理
- オプションルール
- 調査方法の細分化
- ロールプレイングの導入
- 〈空気嫁〉チップのハイリスク化
- ゲーム進行の例
- 〈ずんどこべろんちょ〉の基本戦略
- ファシリテータ*2へのアドバイス
- サポート情報
- クレジット
『ずんどこべろんちょ』、やってみたいですねえ。
まあ、そんなゲームないんですけどね。
誰か作ってください『ずんどこべろんちょ』。*3
それはさておき。この編集方式は大層便利なので、私も最近は情報を処理したり公開したりする際に使わせてもらっています。けれど、それが慣用的に〈SPI方式〉と呼ばれていたのは知りませんでした。
せっかく知ったのでついでにSPI社を調べてみたら、グレッグ・コスティキャンのWebsiteに「SPI抄録」というものがありました。ボードゲーム研究をされている方には有用かもしれませんね。紹介しておきます。「デザイナー/ディベロッパー/出版年」の3つの情報が収録されているようです。
■Costikyan, Greg, [1984]2007, The SPI Compendium
(http://www.costik.com/spicom/)
このSPI社は1982年には既に潰れてしまったらしく(D&D来日より前ですね)、TSR社に版権等を吸収されてしまったそうです(D&Dの会社ですね)。いかにも1980年代的なゲーム業界史ですねえ。
この時代のアメリカンなボードゲームもどんどんやっていきたいものです。
*1:安田均,門倉直人,深沢美潮,和栗朗,伏見健二,大内善博,黒田幸弘らと水野良が各々と一対一で対談した記事を集めた単行本。RPGの明るい未来を構想する一方で、「TRPG冬の時代」の前触れを予感させるさまざまなネガティヴな問題意識が真正面から論じられており、当時のプロRPGデザイナー達がどのような危機感を持っていたかをうかがい知ることができる。特に和栗と黒田の二人の対談記事では、今なお検討する価値のある問題が論じられている。
*2:テーブルゲームの遊び方を現場で指導する役職の人。現在のボードゲーム普及においてもっとも必要な人材と思われる。
*3:「意味不明なオマヌケ言葉をランダムに作成して、それをもとに意味を加えたりねじまげたりして名声(ポイント)獲得を目指すマルチゲーム」って漠然としたイメージで書き流し。たぶんチーパスゲームズ的なもの、『ザ・ビッグアイディア』が近いかも。