GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

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虚構世界の設定考証ゲーム「現在のフランス王」

 さっき虚構文の話について書いていたらAの魔法陣でこのようなセッションデータを思いついたのでした。

 我はこれより「M*〔エム〕」より始まるゲームの目的を記述する。

「M*“現在のフランス王は禿げである”という状況を西暦2007年において成立させる:難易度100:判定単位1億:制限時間300年(つまり1707年から2007年まで)西暦:1ターン半世紀(つまり6ターン):抽出条件は影響力のありそうな政治活動ならなんでも」

 そんでもってキャラクター作成はこんな感じ。

  • 原型:一つの国家(1人以上のプレーヤーはフランスを担当することを推奨する)
  • 根源力:10,000,000,000(=10億)
  • 判定単位:1,000,000,000(=1億,100万人単位の影響力を持つ政治活動を1成功要素の基本想定に置く)
  • 根源力配分比*1
    • 歴史的人物(1)
    • 架空の人物(1)
    • 政治的指導層(1)
    • 外交能力/問題(2)
    • 内政能力/問題(1)
    • 大衆運動(1)
    • 軍事能力/問題(2)
    • 経済・文化(1)
  • 推奨A−DIC:近現代史の教科書のレジュメ(特に近代ヨーロッパ外交史)
  • 特別ルール1:50年ごとに全成功要素入れ替え(再登録には高度な理論的整合性が必要)。
  • 特別ルール2:「100万人規模の影響力を持ちうる1人の人物の名前」を毎ターン1つ以上成功要素として登録しなければならない。*2
  • 特別ルール3:「100万人以上の人員を動員しうる1つの社会現象」を毎ターン1つ以上、成功要素として登録しなければならない。
  • 特別ルール4:「プレイによって新しい架空の歴史的事実を生み出し、国力を変動させてもかまわない
  • 特別ルール5:「1ターンごとに〈フランス革命判定〉が行われる。1ターンから6ターンまでのターン開始時点で、「{(残存難易度)+(前回のターンで減らされた難易度の絶対値)−60}が±0を下回っていた時点で、フランス革命が発生する。もしフランスをプレイしているプレーヤーがいた場合、「P*フランス革命を防止する:難易度10」の受動判定を行うこと(前提変換は可能)。失敗すれば、王政が崩壊する。だが、ゲーム自体は2007年時点で王政があり、なおかつそのフランス王が禿げであれば構わないため*3、その点に注意してプレイすれば、課題の達成は望める。SDは革命の具体的内容について、ターンごとのバリエーションを想定しておくこと。
  • 特別ルール6:「5ターン目と6ターン目で〈共産主義判定〉が行われる。各プレーヤーは、ターンの一番最初に「P*共産主義革命を防止する:難易度5」で受動判定を行う。これに失敗すると根源力が50%減り(つまり5000万)、社会主義国家となる。共産主義国家は、次のターン(つまり6ターン目)の共産主義判定で〈計画経済判定〉を行う権利を得る。これは「P*国力を増大させるような政治を行う:難易度2」の受動判定に成功すれば、根源力が300%増大する(つまり1.5億)。しかしこれによりフランスの共産主義は勢いづくため、6ターン目の抽出条件にかなりの影響を与える。(具体的に言えば、この〈計画経済判定〉に成功するプレーヤーが出るごとに、70%抽出が50%抽出に条件が変わる。)
  • その他、IFの歴史を再現するためにSDは独自にA−DICを編集してよい。

 『Aの魔法陣』は「概念を組み合わせて状況を記述する」という意志決定に挑戦する遊びです。ですから、「状況の記述なんかよりも状況をさっさと数値データとルールで把握させてくれよ、めんどくさい」という人にはあまり面白さが伝わらないという残念なところがあるのですが、状況描写それ自体に自由度がありすぎるように思えて、実は成功要素の運用に非常に厳しい制限があることから、これまでのゲームとはまた違った葛藤や根拠説明、結果に対する責任が発生して、いい感じにゲーム性が立ち上がるようになっています。なかなか楽しいですね。

 まあそれはさておき、難易度の調整は難しくても、とりあえずこれで「はげたフランス王2007」なゲームは、なんとか成立しそうです。上のゲームをセッションハンドリングする肝は、「〈フランス革命判定〉を3〜4ターンあたりで発生させるようなバランスでセッションを組み、6ターンまでによほどうまく行動宣言をしていかない限り二度と王政は復活しない」という一点さえ重視して裁定すれば、歴史知識に色々穴抜けがあっても、それなりに面白く回るのではないかな、と思っています。

 しかし、情報不足や考慮すべき状況のあいまいさをA−DICで補うのはすごく面倒ですね。実質、システムデザインをAマホでやるのと大して変わりません。

*1:ルールに従い、合計10になるよう調整した。

*2:ヘーゲリアン的な思想の素朴な具現である。

*3:く、くだらねえ。